九州中西部に点在する変成岩分布地域の中で,西南日本外帯に位置する黒瀬川構造帯と同内帯に位置する肥後変成帯の各種変成岩類、および木山変成岩を訪ねる.黒瀬川構造帯では,蛇紋岩メランジュ中にブロックとして産する高圧変成岩類(カンブリア紀の海洋地殻起源とみなされる青色片岩,ヒスイ輝石-藍閃石変ハンレイ岩など)と高温変成岩類(オルドビス紀の活動的大陸縁における火山弧火成活動に由来するザクロ石-単斜輝石グラニュライト,ザクロ石角閃岩など)を見学する.緑色片岩相からグラニュライト相にいたる一連の地殻断面を示す肥後変成帯では,部分溶融現象を伴う泥質グラニュライトや過アルミナ質のサフィリングラニュライトなど,ペルム紀末の変成作用を受けた下部地殻(一部は白亜紀の重複変成作用)を見学する.また,木山変成岩では,石炭紀の高圧変成岩(青色片岩)を見学する.これらを通して,日本列島形成に関する古生代テクトニクスについて現地討論する.