2015 年 121 巻 3 号 p. 109-122
中国東北部では,ジュラ系および白亜系は,主として非海成の地層からなる.中国東北部における非海成層中のジュラ系・白亜系境界の認定は,遼寧省西部から産出するJehol生物群の年代決定に大きく依存している.同生物群の年代観は,幾多の変遷をたどっている.中国,モンゴルおよびロシア・トランスバイカルの含Eosestheria-Ephemeropsis-Lycoptera層は,1920年代には白亜紀古世に位置づけられていた.しかし,1960年代以降は,ジュラ紀中世ないし新世へと変更された.1990年代前半以降,黒竜江省東部から産する海生生物相の年代位置づけが修正されたことにより,Jehol生物群の年代は,再び白亜紀古世を示すと考えられるようになった.最近の放射年代の測定によれば,ジュラ紀・白亜紀境界は,Jehol層群の層準よりもずっと下位に位置づけられる.