地質学雑誌
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論説
日本海中部沿岸域における前期更新世の環境変動による底生動物群への影響:
富山県小矢部市田川周辺の大桑層産軟体動物群の検討を通じて
金子 敦志天野 和孝佐藤 時幸葉室 麻吹葉室 俊和
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2016 年 122 巻 5 号 p. 193-206

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抄録

前期更新世の環境変動が軟体動物群にどのような変化を与えているのかを検討すべく,本州中部の富山県小矢部市周辺の大桑層産軟体動物群を検討した.石灰質ナンノ化石に基づくと,大桑層は前期更新世の約2.02Maから約0.99Maまでに堆積したことが判明した.大桑層の12産地より169種の軟体動物化石が識別された.また,大桑層下部および上部の下部ではほぼ下部浅海域であり,上部の中部~上部ではほぼ上部浅海域に堆積したことも明らかとなった.大桑・万願寺動物群特徴的絶滅種の時空分布を検討したところ,約1.2Maの寒冷化によりMizuhopecten yessoensisLirabuccinum japonicumTachyrhynchus asatoiが,約1.0Maの温暖化によりPecten albicansが出現した.また,こうした寒冷化や温暖化に伴い,大桑・万願寺動物群の種多様性が増加したことが明らかとなった.

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© 2016 日本地質学会
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