地質学雑誌
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巡検案内書:第123年学術大会(2016年東京・桜上水大会)
関東山地秩父帯北帯の地質
久田 健一郎冨永 紘平関根 一昭松岡 喜久次加藤 潔
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2016 年 122 巻 7 号 p. 325-342

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抄録

関東山地の秩父帯は,1900年代前半から我が国の代表的古生界の模式地のひとつとみなされてきたが,1980年代になるとこれらの地層群はコノドントや放散虫化石などの化石産出により中生界とされた.最近の研究では,5つのジュラ紀岩相ユニットが認識され,主部の低角度の地層群(柏木・上吉田・風早峠ユニット)と南縁部の高角度の地層群(蛇木・住居附ユニット)が確認された.特に南縁部には,住居附ユニット最下部を占める礁性巨大石灰岩列が並び,主部のユニットとの対比が注目されている.この南縁部の地層群の泥質部は剪断されていることを特徴とし,その南側に分布する黒瀬川帯の構成岩類である山中白亜系と断層関係で接する.本巡検では,この巨大石灰岩のひとつである叶山石灰岩鉱山を訪れ,礁性石灰岩と周囲の緑色岩との関係を見学するとともに,主部の各ユニットの岩相を観察する.また近年変斑れい岩の露出で黒瀬川帯相当に提案されている橋立ユニット(=柏木ユニット)についても現地検討を行う.

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© 2016 日本地質学会
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