2017 年 123 巻 12 号 p. 1035-1048
本研究では沖縄県宮古島に分布する琉球層群の磁気層序の検討を行った.琉球層群を構成する礁性石灰岩は残留磁化強度が弱く二次磁化の影響により初生磁化が捉えにくい.そこで,新たな手法である還元化学消磁を用いて二次磁化を選択的に除去し古地磁気測定を行った.還元化学消磁の適用により,従来の交流消磁や熱消磁での結果では正確に地球磁場の極性を判断できなかった13サイトについて結果が大幅に改善し,極性を判定できた.その結果,MY-Unit 1からMY-Unit 4最下部は逆帯磁を示し,上位のMY-Unit 4およびMY-Unit 5は正帯磁であることが明らかとなった.得られた磁気層序を石灰質ナノ化石年代と対比することにより,MY-Unit 4最下部の地磁気極性境界は松山-ブルン境界であると結論した.今回の結果は,年代決定手段の少ない礁性石灰岩に国際対比可能な年代軸を提供するものである.