地質学雑誌
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総説
北極海の古海洋研究:
現状と課題
山本 正伸
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2018 年 124 巻 1 号 p. 3-16

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抄録

北極海の古海洋研究がはじまってから60年になる.2004年に行われたACEXにより,新生代寒冷化に関わる本質的な発見があり,北極海古海洋研究の重要性が広く認識された.近年の北極海を取り巻く環境は温暖化を含め著しい変貌をとげており,その将来予測が急務となっている.今後の研究においては,新生代寒冷化の進行経緯,過去の温暖期における海氷分布状況,ベーリング海峡の気候的意義,極北文化と気候変動との関係を明らかにしてゆくことが特に重要である.研究の推進においては,国際深海科学掘削計画による北極海海底掘削,砕氷調査船を用いたコア試料の採取,海底地形調査が不可欠である.

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© 2018 日本地質学会
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