地質学雑誌
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総説
IODP航海における炭酸塩トピックス
川幡 穂高横山 祐典黒田 潤一郎井龍 康文狩野 彰宏
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2018 年 124 巻 1 号 p. 35-45

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抄録

炭酸塩を主たるテーマとしてIODP(統合国際深海掘削計画)では4航海が実施された.310次航海でのタヒチ島の結果によると,融氷パルス(Melt water pulse=MWP)-1Aの海水準の上昇は12-22mだったが,融氷パルス-1Bは観察されなかった.325次航海では,グレートバリアリーフで更新世のサンゴ礁掘削が行なわれた.最終氷期最盛期(LGM:20,000年前)には,水温は5℃以上降温していた.307次航海は,北西太平洋の深海サンゴの内部を初めて掘削した.サンゴマウンドの発達の開始は,現代の海洋大循環が大西洋で確立した更新世の最初期に地球的規模で寒冷化した環境変動と相関していた.320/321次航海では,過去5300万年間の時間レンジをカバーする赤道太平洋の深海底より一連の堆積物が採取された.炭酸塩の沈積流量に基づき新生代の赤道域の炭酸塩補償深度(CCD)変化が復元された.

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© 2018 日本地質学会
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