地質学雑誌
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論説
2014年の長野県神城断層地震の前後における新潟県十日町市室野泥火山の溶存ガス濃度と炭素同位体比の変化
柿崎 喜宏シュナイダー グレン棚橋 学石田 直人松本 良
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電子付録

2018 年 124 巻 2 号 p. 127-140

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抄録

新潟県十日町市の室野泥火山において,2014年11月22日の長野県神城断層地震の発生直後,メタン,二酸化炭素,エタン,プロパンの溶存濃度が地震発生前に比べて増加していたのが確認された.メタンとエタンの炭素同位体比の高い値とC1/(C2+C3)比から,メタンは地震の前後とも有機物の熱分解起源であり,地下深部に由来すると判断される.一方,地震直後にエタンの炭素同位体比が低下することから,地震直後には熟成度のより低い石油根源岩から生成したエタンの供給量が増加した可能性がある.このように,地震による体積歪み変化は地下深部からのガスの供給量の増加やガスの供給源の変化をもたらした.この地震における室野泥火山の理論歪み値は687×10-8ストレインと求められ,同様の規模の体積歪変化を引き起こす地震に頻繁に遭遇していることから,室野泥火山は地震と泥火山の関係を研究する上で重要なフィールドといえる.

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© 2018 日本地質学会
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