2018 年 124 巻 8 号 p. 593-601
100周年以降の25年間は日本の地質学者が広く海外に活躍の場を拡げるとともに,新たな分析機器の導入や解析手法の開発により,オフィオライトを構成するマントルカンラン岩の精密な上昇プロセスやマントル中のマグマの移動・反応プロセス,マントルの流動・変形機構,マントル岩中の微小包有物の同定・分析などが勢力的に進められた.また,フィールド地質学の分野でも,詳細な地質調査に基づいて海洋地殻の形成プロセスや始生代の海洋地殻層序の復元などが行われた.本小論ではこれらの日本人によって行われた海外のオフィオライト研究のうち,世界で最も規模が大きく保存状態がよいとされるオマーン,島弧下マントルが露出するミルディータ,リサイクルしたスラブ由来の超高圧鉱物を含むルオブサ,世界で最も新しいチモールとタイタオ,世界最古の付加体からなるイスアとピルバラの各オフィオライトについて紹介した.