地質学雑誌
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総説
中新世における西南日本の時計回り回転
星 博幸
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2018 年 124 巻 9 号 p. 675-691

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抄録

西南日本の15Ma高速回転モデルは現在も日本列島の地質学研究に大きな影響を与えている.しかし,微化石層序や放射年代測定の進展,および回転を示すと考えられていた中期中新世残留磁化方位の最近の解釈は,回転年代が従来考えられていたよりも古くなる可能性を示している.今回筆者はこの四半世紀に西南日本から報告された古地磁気と年代のデータをレビューした.重要な結論は,回転が18~16Maの間のある時期に起こったということだ.西南日本が東西縁辺部を除き剛体的に回転したと仮定すると,回転量の上限は41.7±5.4°で,実際にはそれより数度程度小さかったかもしれない.回転の平均角速度は約21°/Myrか,より大きかった可能性がある.日本海拡大初期(始新世~漸新世)に西南日本はほとんど回転を伴わずに大陸から分裂・移動し,約18~16Maに時計回りに40°程度回転しながら現在の位置まで急速に移動したと考えられる.

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© 2018 日本地質学会
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