地質学雑誌
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総説
我が国における活断層研究の最近25年の成果と今後の展望
堤 浩之近藤 久雄石山 達也
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2018 年 124 巻 9 号 p. 741-757

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抄録

本論文は,主に1990年以降に公表された論文や活断層図などを基に,日本の活断層研究の最近25年間の動向をまとめたものである.1995年の兵庫県南部地震以降,国の地震研究体制が大きく変化し,それに伴い活断層研究の体制が大きく変わった.それ以前とは比較にならない多額の予算が投入され,活断層の分布や活動履歴,地下構造に関する情報が急増し,活断層から発生する地震の長期予測に資するデータが蓄積された.一方,近年続発した内陸直下型被害地震は,活断層から発生する地震の規模や発生様式が多様かつ複雑であることを示しており,固有地震モデルに基づく地震の長期評価の妥当性の検証が必要である.活断層研究は,空中写真判読による地形解析と現地踏査を基礎にしながらも,近年急速に発達している宇宙測地学・物理探査・詳細地形データなどを取り入れて多面的に展開される必要がある.

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© 2018 日本地質学会
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