東京低地と中川低地における沖積層の形成機構
キーワード:
sequence stratigraphy,
paleogeography,
Younger Dryas,
“Yayoi regression”,
estuary,
drowned valley
2019 年 125 巻 1 号 p. 55-72
詳細
2019 年 125 巻 1 号 p. 55-72
東京低地と中川低地における沖積層のシーケンス層序と古地理を詳細に解明した結果，沖積層の形成機構に関する次の3つの知見を得ることができた．（1）蛇行河川堆積物を構成するチャネル砂層は，海水準上昇速度が大きい時期にはアナストモーズ状の形態を有し垂直方向に累重するのに対して，海水準上昇速度が小さい時期にはシート状の形態を有し水平付加する．（2）一部の海進期のエスチュアリーシステムは，河川卓越型エスチュアリーとして分類されるべきであり，その湾頭部の潮下帯にはローブ状で上方細粒化する砂体が存在する．（3）潮汐の卓越した溺れ谷などの内湾では，湾内に流入する河川が存在しなくても，湾外から運搬された泥質砕屑物が側方付加することによって埋積され，上方細粒化相が形成される．特に（1）は海水準の変動率が浅海成層と同様に沖積平野の河成層の地層形成に重要な支配要因であることを示す．
