地質学雑誌
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総説
四国地方の主要臨海平野における上部更新統および完新統の対比
:現状と課題
川村 教一西山 賢一
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2019 年 125 巻 1 号 p. 87-105

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抄録

筆者らは,四国の主要海岸平野の地下に発達する更新統および完新統の岩相層序,指標テフラ,放射性炭素年代測定値をレビューし,平野の形成過程についての最新の知見をまとめ,課題の抽出を行った.徳島平野では,更新世の北島層と更新世末~完新世の徳島層は,東四国における標準的な層序を提示できる可能性が高い.讃岐平野のうち坂出低地と高松低地は,広域テフラと対比可能な複数の火山灰層が見つかっており,北四国における標準的な層序区分検討に好適である.高知平野と松山平野では,完新統の岩相分布が明らかであるが,更新統については年代データの蓄積が十分ではない.年代対比をもとに,層相の差異を検討したところ,沖積層は基底部に礫層が発達し,その上位に薄い泥質な海成層が覆い,さらに泥質・砂質の三角州成層や砂礫質の扇状地成層が重なる場合が多い.層厚は,長期的な地殻の沈降速度が大きい地域で厚くなる傾向が見られる.

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© 2019 日本地質学会
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