2019 年 125 巻 3 号 p. 227-236
大田テフラは中部日本の代表的な鮮新世広域テフラである.本研究では,これに対比される岐阜県東濃地域の中津川Ⅰ&Ⅱ火山灰層から採取した2試料を用いて,同一ジルコン粒子に対するU-Pb年代とフィッション・トラック(FT)年代のダブル年代測定を行った.その結果,2試料の加重平均値として,U-Pb年代は3.94±0.07Ma,FT年代は3.97±0.39 Maの年代が得られた.閉鎖温度の高いU-Pb年代と閉鎖温度の低いFT年代が誤差の範囲で一致することから,これらの年代は高温から急速に冷却されたテフラの噴出年代を示すと考えられる.本研究の年代測定結果は既存研究のFT年代や古地磁気層序とも整合的であり,中部日本をはじめとする地域の下部鮮新統の広域層序と対比において重要な年代指標となると考えられる.