地質学雑誌
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論説
ケニア中央部上部中新統ナカリ層から産出した新種ヨシネズミ類
田邉 佳紀 小野寺 麻由中務 真人國松 豊仲谷 英夫
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2020 年 126 巻 4 号 p. 167-181

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抄録

アフリカヨシネズミ(齧歯目,ヨシネズミ科)は二種の現生種がアフリカ・サハラ以南に生息している.先行研究では,現生のヨシネズミ属はその化石記録からアフリカの後期中新世末に出現したと考えられていた.日本-ケニア調査隊はケニア北部に分布する上部中新統ナカリ層(約10Ma)からヨシネズミ属の新種Thryonomys kamulai, sp. nov.を発見した.筆者らは頬歯化石を基に本種の記載を行い,ヨシネズミ属の中では小型で,また固有の稜縁歯(lophodonty)を有することが特徴づけられた.この発見により,ヨシネズミ属の初産出記録が後期中新世の約10Maに更新され,彼らは少なくとも10Ma以前にアフリカに生息していたことが考えられる.

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© 2020 日本地質学会
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