地質学雑誌
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論説
新島(燃島)の後期更新世末期-完新世の石灰質微化石群集と鹿児島湾奥の古環境復元
前浜 悠太鹿野 和彦大木 公彦入月 俊明林 広樹
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2021 年 127 巻 6 号 p. 363-376

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抄録

鹿児島湾奥の新島に露出する姶良カルデラ底下の堆積物から底生有孔虫と浮遊性有孔虫,貝形虫の化石が産出することを見出し,それらの群集を分析した結果,以下の点が明らかになった.姶良カルデラは,当初,淡水に満たされていたが,1万3千年前以前に暖流が流入して深さ100 mを超える還元的で閉鎖的な海域となった.しかし,その後,微化石の種数と産出頻度は著しく低下する.その原因の1つとして姶良カルデラ北東部の若尊カルデラから放出された火山ガスが海水に溶け込んで酸性の水が底層に広がった可能性が考えられる.8千年前を過ぎる頃になると活発に暖流が入り込むようになり,カルデラ底は現在の水深140 mに達した.

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© 2021 日本地質学会
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