抄録
1994年に開始した愛知県名古屋市東方地域の地圏環境評価の一環として,1997年には,白亜紀花崗岩の基盤岩が分布する豊田市の北東部で101試料の河川堆積物を採取し,16元素の分析を行った.堆積岩地域の河川堆積物は,花崗岩地域のものに比べてSiO₂に富む.これは,堆積岩の後背地である美濃帯珪質岩の風化生成物(特に石英)が,堆積岩に多く含まれることによる.花崗岩地域の河川堆積物の化学組成に関する議論から,長石類に多く含まれるCa,NaとKは花崗岩の岩体ごとに特徴的な分布を示し,Ca-Na-K三角図から伊奈川花崗岩は従来の地質学的・岩石化学的分類とは異なる3つのタイプに分類される可能性が示された.1994年以降の500試料をもとに,名古屋市東方地域の地球化学図を作製した.当地域では,一部地域における鉄の濃集を除いて今のところ人為的な汚染はほとんど検出されない.