地質学雑誌
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紀伊半島西部の黒瀬川帯周辺の上部ジュラ系-下部白亜系池之上層
柏木 健司八尾 昭
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1999 年 105 巻 8 号 p. 523-534_1

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抄録
紀伊半島西部において, 池之上層を記載した.そして, 黒瀬川帯は秩父帯に属するジュラ紀堆積岩コンプレックスの構造的上位に位置するナップであるという観点から, 池之上層について議論した.池之上層は, ジュラ紀新世から白亜紀占世中期を示す整然層である.池之上層は, 岩相より, 下位から下部層・中部層・上部層の3部層に区分され, それぞれは放散虫化石年代より, 秩父南帯中紀層群の大引層立厳部層の一部・由良層・神谷層に対比される.さらに, 池之上層下部層と中部層は, 黒瀬川帯のジュラ系被覆層に対比できる.池之上層は黒瀬川帯と秩父南帯(先ジュラ紀新世)の両帯を不整合で覆った被覆層である.池之上層堆積前には, すでに黒瀬川帯と秩父南帯(先ジュラ紀新世)は接合していた.黒瀬川帯はジュラ紀新世前期に, 秩父南帯(先ジュラ紀新世)のジュラ紀堆積岩コンプレックスの上位に, ナップとして累重したと推定される.
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