地質学雑誌
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X線CTによる岩石内部構造の観察・解析法
中野 司中島 善人中村 光一池田 進
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2000 年 106 巻 5 号 p. 363-378

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抄録

X線CT(Computerized Tomography)はサンプル物質のX線線吸収係数(LAC)の空間分布を示す画像(CT画像)を再構成する手法で, 岩石の精密な3次元内部構造の非破壊観察・解析に利用できる.LACは物質の密度・状態・化学組成とX線のエネルギーで決まる物性定数で, 医療用X線CTスキャナで使われるエネルギーレベルのX線では特に化学組成依存性が高い.CT画像の再構成にはフィルタ補正逆投影法(FBP法)もしくは畳み込み逆投影法(CBP法)が用いられ, 再構成フィルタの選択により観察対象の組織を強調表示できる.白色X線で撮影したCT画像には光線硬化と呼ばれる偽像が生じるが, サンプル周囲に緩衝材をつめたり, 撮影に用いたX線のスペクトルとサンプルの密度・化学組成のデータを使った補正によりその影響を軽減できる.X線CTによる岩石内部構造の観察・解析ではその原理や手法を十分に理解して処理を行う必要がある.

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© 日本地質学会
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