地質学雑誌
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兵庫県南端部, 沼島に分布する三波川変成岩類から発見されたさや状褶曲
前川 寛和井ロ 博夫榎本 哲二
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2001 年 107 巻 3 号 p. V-VI

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抄録

兵庫県三原郡南淡町沼島は, 淡路島とは中央構造線で境されており, 兵庫県で唯一, 三波川変成岩類が分布する島である(藤本ほか, 1976). 島全域が三波川変成岩類によって占められており, 北部で緑色片岩, 南部で泥質片岩が卓越する. 全域にわたって泥質片岩中に黒雲母と曹長石が含まれることから, 曹長石・黒雲母帯に属すると考えられる. 最近, 筆者等は, 沼島北瑞部黒崎東方で, さや状褶曲(sheath fold)の良好な露頭を発見した. さや状褶曲の伸びの方向は, 引き伸ばし線構造の方向(N60-80°E 10-30°E)に一致する. さや状褶曲をなす岩石は珪質の泥質片岩~石英片岩で, 藍閃石, バロア閃石, アルカリ輝石, 黒雲母, 白雲母, ザクロ石, 緑泥石, 方解石, 石英, 曹長石, 石墨からなる. さや状褶曲は, 今回報告する露頭周辺にも多数認められる.

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