地質学雑誌
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岡山県成羽地域の下部白亜系河成層 : 羽山層
鈴木 茂之/ 藤原 民章Tamiaki Fujiwara
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2001 年 107 巻 9 号 p. 541-556

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抄録

成羽地域に分布する下部白亜系を羽山層と命名して再定義した.本層はアルビアン期に河谷を埋めて堆積した河成層であり, 下部の礫岩が主体の枝礫岩部層と上部の泥岩が主体の空泥岩部層からなる.両者の境界は漸移的である.両部層とも流路から砂礫堆の堆積物である礫岩から氾濫原堆積物である泥岩へと上方細粒化するユニットの繰り返しからなる.古地形の解析から本層はほぼ南北に伸びる河谷を埋めて堆積していることがわかった.礫のインブリケート構造から北から南への古流向が復元される.空泥岩部層の泥岩は赤色化作用や鉄アルミナ富化作用等の強い土壌化を受けていないものの, 石灰質コンクリーションが形成されているため, 石灰集積作用を受けた程度の古土壌と考えられ, 当時乾燥した気候であったことが推定できる.本層は本来後背地にあたる山地内に, あるイベントによって堆積した地層である.その堆積をおこした要因には相対的海水準の上昇による堆積空間の増大と砕屑物の供給量の多さが関与したと推測される.

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