地質学雑誌
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山中地溝帯東域の下部白亜系から産出したテチス型動物群の発見とその意義.地質雑
一瀬 めぐみ田中 均高橋 努宮本 隆実川路 芳弘
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2002 年 108 巻 10 号 p. 663-670

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抄録

山中地溝帯の下部白亜系は,従来,岩相や産出化石よりテチス北方型動物群を産する四国の物部川層群に対比されてきた.今回,その東域の中ノ沢および日向沢から見い出した二枚貝化石群集は,これまで報告されていたテチス北方型動物群とは異なり,それらの群集構成はアルビアンのテチス型動物群(熊本県の八代層産の動物群に代表される)とほぼ一致する.それらは山中地溝帯下部白亜系のテチス北方型動物群とは,汎世界的な種を除き,共通する種はほとんど見られない.したがって,山中地溝帯東域の下部白亜系にはテチス北方型動物群を産する下部白亜系に加え,新たにテチス型動物群を産するアルビアンの地層の存在が明らかになった.さらにこのテチス型動物群を産する地層は,西南日本の相当層などとの比較・検討から,武井(1964)が報告したTnoceramus cf hobetsensisを産する上位層との関連性が高いことが示唆される.

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