地質学雑誌
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京都府丹後半島,中新統八鹿累層のピクライト質玄武岩.地質雑
石渡 明今坂 美絵
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2002 年 108 巻 10 号 p. 671-684

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抄録

丹後半島中央部に分布する八鹿累層は前期中新世の日本海拡大時に噴出した玄武岩~安山岩質溶岩および火砕岩からなる.それらの斑晶組み合わせばType1がOl-Cpx-Pl,Type2がOl-Opx-Pl,Type3がOl-Pl,そしてType4がPlであり,FeO*/MgOはこの順に増加するがSiO2はほぼ一定のソレアイト的分化傾向を示す.これらはLILEおよびLREEに富み,ZrやZr/Yが高く,Nbに涸渇し,大陸性島弧火山岩の特徴を示す.新発見のType1ピクライト質玄武岩はMgO(12wt.%),Ni(300ppm),Cr(1,100ppm)に富み,スピネルのCr/(Al+Cr)が0.64-0.84で他のType1玄武岩(0.49-0.59)より高いが,液相濃集元素組成や他の鉱物化学組成はそれらと同様である.このピクライト質玄武岩は,他の八鹿累層火山岩類と同じ給源マントルから,若干含水条件下で,温度上昇による高い部分溶融程度で形成されたと考えられる.同様なピクライトは活動的背弧海盆の沖縄トラフ周辺にもあり,日本海拡大初期の高温マントルの上昇を示唆する.

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