北海道天塩中川地域の調査範囲の上部白亜系は下位より,中部蝦夷層群の佐古丹岳層,佐久川層,佐久層(下位より知良志内川砂岩部層,共和泥岩部層,佐久橋砂岩泥岩互層部層),上部蝦夷層群の西知良志内層,大曲層,オソウシナイ層,函淵層群の函淵層に区分される.セノマニアン-チューロニアン階境界が佐久川層上部に,チューロニアン-コニアシアン階境界が西知良志内層-佐久層境界付近に,コニアシアン-サントニアン階境界が西知良志内層内に,サントニアン-カンパニアン階境界が大曲層上部にそれぞれ位置する.岩相観察と化石層序学的検討の結果,上部蝦夷函淵層群境界は整合であると考えられる.本地域のアンモナイト・イノセラムス類の産出個体数,産出種数はコニアシアン・サントニアン階において特に低い.これは貧酸素の泥底に,本地域内に局地的に流入した粗粒岩相(大曲層)の影響であると考えられる.