地質学雑誌
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酸化還元フロントの形成と二次的物質移動現象 : 地質環境中汚染物質の移動と長期的固定に関するアナログ研究
吉田 英一山本 鋼志田中 姿郎與語 節生 /A. E. Milodowski
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2003 年 109 巻 9 号 p. 548-558

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抄録
地層や岩盤中での常温環境下の酸化還元反応とフロントの形成、そしてそれに伴う二次的な物質移動は、地質環境中での各種廃棄物の処分において、周辺岩盤と地質環境が有する長期的な機能を適切に評価する上で重要な地質現象である 本研究では、過去数十万年間に常温環境下で生じたと考えられる酸化還元反応と二次的な物質移動現象のアナログ的事例について調査を行った その結果、1)酸化還元フロントは、長期に渡って二次的な酸化物を伴って岩石マトリクス中を浸透・移動し、バックグランドの数倍~数十倍以上の遷移元素および重金属を濃集すること、また2)これらの物質濃集には、FeやMnの無機的な化学反応によるスカベンジング作用だけでなく微生物(鉄酸化菌)による酸化反応が寄与していることが示された これらの長期的な物質移動現象は、地質環境中への廃棄物処分などの長期的な安全性にとっても有利に働く可能性を示唆するものである
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© 日本地質学会
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