44 巻 (2007) 3 号 p. 339-344
目的 健康関連QOL尺度の質問紙MOS 36-Item Short-Form Health Survey(以下SF-36と略)の日本語版を用い,太極拳実施高齢者を対象に調査を実施し,全国の同年代の健常高齢者の健康関連QOLと比較検討することを目的とする.方法 全国の日本健康太極拳協会所属で太極拳を実施している65歳以上の高齢者903名にSF-36質問紙を配布し,有効回答が得られた804名(回収率89.04%)を分析対象とした.調査から得られたSF-36の国民標準値に基づいた下位尺度得点を,60歳∼69歳と70歳∼80歳の二つの年齢層に分け,同年代の1,040名の国民標準平均値とそれぞれ比較した.更に,太極拳継続年数及び実施頻度と健康関連QOLとの関連性についての分析を行った.結果 60歳∼69歳代においては,太極拳実施高齢者では身体機能(p<0.01),全体的健康観(p<0.05),心の健康(p<0.01)の3項目の得点が対照群に比し有意に高かった.70∼80歳代では太極拳実施高齢者の身体機能(p<0.01),日常身体的役割機能(p<0.01),体の痛み(p<0.05),全体的健康観(p<0.01),活力(p<0.01),日常精神的役割機能(p<0.01),心の健康(p<0.01)の7つの項目の得点が対照群に比し有意に高かった.また,太極拳継続年数と統計学的に有意な関連のある要因として心の健康と身体機能の2項目が特定できた.太極拳実施頻度と統計学的に有意な関連のある要因として全体的健康観と身体機能の2項目が特定できた.結論 太極拳運動を定期的に継続する高齢者の健康関連QOLは同年代の全国健常者より有意に高いことが示唆された.太極拳継続年数では心の健康と身体機能,太極拳実施頻度では全体的健康観と身体機能が統計学的に有意な関連を示したが,いずれも寄与率(R2)が低かった.