日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
地域高齢者を対象としたTrail Making Testの意義―身体機能とTrail Making Testの成績についての横断分析から―
広田 千賀渡辺 美鈴谷本 芳美河野 令樋口 由美河野 公一
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キーワード: TMT, 高齢者, 歩行機能
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2008 年 45 巻 6 号 p. 647-654

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抄録

目的:Trail Making Test(以下TMT)は,欧米において遂行機能の指標として研究されてきた.しかし,日本においてTMTに関する研究は少ない.本研究では地域在住高齢者の健康づくり支援を目指して,TMTの特徴と身体機能との関連を明らかにし,TMTの有用性について検討することを目的とした.方法:大都市近郊T市に在住している65歳以上の高齢者175人(男57人,女118人)を対象とした.TMTと8項目の身体機能を測定した.身体機能は介護予防項目として通常歩行,Timed Up & Go test(以下TUG),開眼片足立ち,握力の4項目,移動·歩行機能項目として最大歩行,課題付加TUG,階段昇降,障害物歩行の4項目である.TMTの評価には⊿TMTを用い,身体機能との関連は性と年齢を共変量とした多項ロジスティック回帰分析を行った.結果:⊿TMTの中央値は男性58.61秒,女性65.67秒で,男女とも年齢群間に有意な差を認め,特に80歳以上が高値であった.性差は観察されなかった.身体計測項目と⊿TMTとの関連について,⊿TMTの不良なものはTUGと握力の成績が有意に低かった.移動·歩行機能項目では,⊿TMTの不良なものは,最大歩行,課題付加TUG,階段昇降,障害物歩行の成績が有意に低かった.また,最大歩行の「中間/高い」比較でも,⊿TMTの不良なものは有意に成績が低かった.結論:TMTはより認知の必要な複雑な歩行機能と関連したことから,高齢期の健康づくりにおける遂行機能の評価指標としての有用性が示唆される.

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© 2008 一般社団法人 日本老年医学会
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