46 巻 (2009) 5 号 p. 405-408
多くの初代細胞は通常培養条件では細胞複製能に限界があり,テロメア依存性あるいは非依存性に細胞老化する.テロメア非依存性老化とは,様々なストレスにより誘導される細胞老化の総称であり,別名,ストレス老化とも呼ばれている.一方で,ES細胞は,不死化能と分化全能性を両立し,遺伝子改変を受けない唯一の初代細胞である.ES細胞は,これらテロメア依存性および非依存性細胞老化の両方をバイパスできる細胞とも呼べる.ES細胞が初代細胞にも関わらず不死化能を維持できるのは大きな謎である.
最近,我々はマウス初代細胞のテロメア非依存性不死化因子研究を端緒として,解糖系代謝亢進とミトコンドリア酸素消費低下という非常にユニークな代謝特性が,ES細胞はじめとした不死化細胞共通のものであり,その不死化能維持に大きく寄与することを報告した.本稿では,細胞老化に寄与する解糖系代謝に関して,我々の知見を中心に総説する.