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日本老年医学会雑誌
Vol. 48 (2011) No. 3 P 276-281

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http://doi.org/10.3143/geriatrics.48.276

原著

目的:中規模一般病院に通院する後期高齢者を対象に処方実態を解析し,その問題点について検討した.方法:地域の患者診療が中心の中規模一般病院を連続した6日間に受診し,かつ処方を受けた後期高齢者159名(男性59名,女性100名,年齢80.6±4.5歳)を対象とし,過去9カ月間に受診した院内診療科,および調査時点で過去3カ月以上固定していた定期処方内容(1,031剤)を調査・解析した.結果:過去9カ月間に2診療科以上受診していた患者は121名(76.1%)であった.定期処方の薬剤数は最大15剤,平均6.5±3.5剤,服用錠数は最大36錠,平均12.4±7.8錠であった.6剤以上の多剤処方例は92名(57.9%)にみられた.薬効別の処方頻度は,1,031剤のうち降圧薬20.3%,高脂血症用薬5.4%,抗血栓剤5.0%,糖尿病用薬3.5%,骨粗鬆症・骨代謝改善薬3.2%であった.また,対症療法薬は消化性潰瘍治療薬・健胃消化薬(以下抗潰瘍健胃薬)15.8%,催眠・鎮静・抗不安薬(以下催眠薬)9.0%,下剤8.1%,鎮痛薬3.5%であった.そのほか,ビタミン製剤は5.1%,漢方便秘薬を除いた漢方薬は2.1%であった.同効薬の多剤処方例は,降圧薬55.9%,催眠薬43.5%,抗潰瘍健胃薬36.8%,下剤35.6%であった.最高併用薬剤数は降圧薬処方例の5剤であった.高齢者に対して慎重投与を要する薬物は全処方1,031剤中4.8%で,159人中48人(30.2%)に処方されていた.結論:一つの中規模一般病院に通院する後期高齢者を対象とした処方実態調査という限界はあるが,複数診療科受診例,多剤処方例が大学病院を対象とした報告よりも多く見られた.また,同効薬を多剤併用した例は降圧薬,抗潰瘍健胃薬,催眠剤,下剤に多くみられた.後期高齢者の多剤処方を減らすには,処方を見直す機会を定期的に作り,医師のみならず薬剤師,看護師などを含めたチームでこの問題に取り組む必要があると考える.

Copyright © 2011 一般社団法人 日本老年医学会

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