2011 年 48 巻 6 号 p. 626-629
高齢者は加齢に伴う臓器機能,生理機能,免疫能の低下に加え,糖尿病や脳血管障害など多彩な基礎疾患のため感染症に罹患する機会が多い.特に肺炎は加齢に従ってその頻度が増加し,90歳以上の高齢者では死因の第一位を占める.高齢者は加齢による腎機能や肝薬物代謝の低下などのため若年者と薬物動態が異なる.そのため高齢者感染症に対し抗菌薬を使用する際は患者背景に応じた抗菌薬の選択が重要であり,使用薬剤による副作用の発現にも十分注意する.また,高齢者肺炎は難治になりやすいため,ワクチン接種や基礎疾患のコントロールなどを行い,発症を予防することも大切である.