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日本老年医学会雑誌
Vol. 49 (2012) No. 3 p. 367-371

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http://doi.org/10.3143/geriatrics.49.367

症例報告

症例は69歳女性.X年9月下旬に下痢がみられた.10月初旬に開眼や歩行が困難になった.第2病日より四肢末梢の異常感覚,第5病日から構音・嚥下障害が出現し,意識レベルも低下した.第7病日,意識レベルJCS 2ケタ,項部硬直なし.内・外眼筋の完全麻痺あり,両側顔面の筋力低下あり,聴力低下なし,挺舌困難あり,構音・嚥下障害あり,頸部の筋力低下あり.四肢遠位筋優位の筋力低下あり.深部腱反射は低下していたが,Chaddock反射が両側陽性であった.指鼻試験・膝踵試験は拙劣.四肢末梢で触覚の低下あり,異常感覚あり.髄液検査で蛋白細胞解離を認め,末梢神経伝導検査では左正中神経で伝導速度低下や伝導ブロックを認め,脳波検査では基礎律動は前頭葉から後頭葉まで全般的に6~7 Hzのθ波であり,ときに4~5 Hzのθ波の混入を認めた.免疫グロブリン大量静注療法を行い,四肢の筋力低下,失調は改善し,脳波異常も改善がみられた.外眼筋麻痺は発症1カ月後頃より改善したが,内眼筋麻痺は持続した.血清抗GQ1b抗体が陽性であった.本例は,Fisher症候群に多発性脳神経障害と脳波異常を合併していた.Fisher症候群,Guillain-Barré症候群,Bickerstaff型脳幹脳炎が同一スペクトラムに属することを支持する症例と考えられた.

Copyright © 2012 一般社団法人 日本老年医学会

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