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日本老年医学会雑誌
Vol. 49 (2012) No. 5 p. 608-611

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http://doi.org/10.3143/geriatrics.49.608

原著

目的:我々の介護老人保健施設で,2010年初旬にRSVによると考えられる気道感染症アウトブレイクを観察し,重症の呼吸器合併症を認めた.その後2012年3月までに気道感染症アウトブレイクを5回経験したが,それらにRSVがどの程度関与しているかを検討した.方法:入所者の訴えと職員の観察から,鼻汁などの上気道症状,咳・痰などの下気道症状を呈する症例を抽出し集計した.RSV抗原検出には市販のイムノクロマト法による迅速検査を用いた.結果:観察した5回の気道感染アウトブレイクのうちRSVを検出したのは1回だけだったが,その他のアウトブレイクと比較して重症呼吸器感染症が有意に多かった(35% vs 11%:p=0.035).RSVアウトブレイクを観察した時期は,周辺医療機関でのRSV感染症報告数が例年の約4倍に増加していた.またアウトブレイクに至らない散発的なRSV感染も2例観察し,そのうち1例で肺炎を認めた.結論:RSVは高齢者でも重症の下気道感染症を生じ得る事を観察した.アウトブレイクに至らないRSV感染が観察され,流行期には施設内に恒常的に搬入されている可能性が考えられた.ただし,今回の観察で使用したRSV迅速検査法は,成人の場合その感度に関してまだ一定の評価が得られていない.文献考察から,報告されている感度の多様性の一因にボカウィルスやヒト・メタニューモウィルスなどの重感染による影響が考えられ,今後の検討を要する.

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