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日本老年医学会雑誌
Vol. 49 (2012) No. 6 p. 788-805

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http://doi.org/10.3143/geriatrics.49.788

特別報告

サルコペニアの定義や診断は,国際的合意のないままで推移していたので,欧州から統一見解が提示された意義は大きく,我が国のサルコペニア研究発展の一助としてそれを監訳した.European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)は,加齢によるサルコペニアについての実際的な臨床定義と診断基準の統一的見解を開発した.
EWGSOPは,科学的証拠に基づく答えを導くために医学文献を用いて,以下の問いを設定し,回答した.:(i)サルコペニアとは何か?(ii)サルコペニアを規定するパラメータは何か?(iii)どのような変数がこれらのパラメータを反映するか?また,どのような測定方法やカットオフ値を用いるべきか?(iv)サルコペニアはカヘキシア,虚弱,そしてサルコペニア肥満とどのように関連しているか?
サルコペニア診断のために,EWGSOPは,筋肉量低下および筋力低下の二者の存在を用いることを推奨する.EWGSOPはこれらの特性を用いて,さらなる概念として,「プレ・サルコペニア」,「サルコペニア」そして「重症サルコペニア」を規定している.EWGSOPは,筋肉量,筋力および生活機能に関する特有の変数の測定に用いられる測定機器について広汎なレビューを行った.本論文は,サルコペニアを規定するために現在用いられているデータの性および年齢によるカットオフ値をまとめ,高齢者に認められるサルコペニアの症例から,歩行速度,握力および筋肉量の測定に基づいてアルゴリズムを示し,さらに研究のための主要な領域および副次的領域についてリストを提示した.
本論によりサルコペニアの実用的定義が採用され,CGA(高齢者総合的機能評価)に含められることになれば,次のステップはサルコペニアの自然経過の規定と効果的な治療法の開発と確立ということになる.

Copyright © 2012 一般社団法人 日本老年医学会

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