日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
通所介護サービスにおける理学療法士・作業療法士の配置が12カ月後の歩行機能に及ぼす効果
林 悠太波戸 真之介今田 樹志小林 修阿部 勉大沼 剛島田 裕之
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2016 年 53 巻 4 号 p. 412-418

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抄録

目的:本研究では,通所介護サービスにおける理学療法士(以下,PT)・作業療法士(以下,OT)配置の有無が利用者の歩行機能に与える影響について調査し,重度化予防及び活動と参加の自立支援を目的とした効果的なサービス形態について,普遍化することを目的とした.方法:対象は全国のデイサービスを利用していた高齢者で,ベースライン時と1年後に通常歩行速度を測定できた830名(平均年齢83.7±6.8歳,男性252名,女性578名)とした.調査項目は,ベースライン時の性別,年齢,要介護,通所介護利用回数とした.対象者をPT,またはOTが配置されている事業所を利用している者(以下,PTOT群)と,配置されていない事業所を利用している者(以下,対照群)の2群に分け,ベースライン時の各変数に差がないことを確認するため,単変量分析を行った.次に配置の有無と時間を要因とした反復測定分散分析を行い,その後の検定として,各群でのベースライン時と1年後の歩行速度の差と各時点における群間差を確かめるために単変量解析を行った.結果:反復測定分散分析により,歩行速度に関しては,時間の主効果はなく,PT・OT配置の有無に関する主効果,時間と群の交互作用は認められた.また,群ごとにベースラインと1年後の歩行速度を比較すると,PTOT群では有意差は認められず,対照群では有意に低下していた.さらに,群間差を比較すると,ベースラインでは有意差は認められないが,1年後は有意差が認められた.結語:通所介護サービスにおいて,PT・OTの配置が歩行機能低下の抑制につながっていることが示唆された.要介護高齢者の歩行速度はADLや死亡率と関連してくるため,通所介護サービスにおけるリハビリ専門職配置の必要性が示唆される.

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© 2016 一般社団法人 日本老年医学会
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