日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
地域在住のフレイルおよび軽度要介護度認定高齢者における社会参加指標原案の開発
池田 登顕山田 拓実
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2017 年 54 巻 2 号 p. 154-164

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抄録

目的:高齢者の社会参加に対する支援や介入は介護予防の観点から重要である.しかし介護予防において重要とされている要介護度認定を受けていないフレイルや軽度要介護度認定高齢者に対して適用可能な社会参加指標は存在していない.そこで本研究では,地域在住のフレイルおよび軽度要介護度認定高齢者の社会参加指標原案を開発することを目的とした.方法:原案開発に用いた調査票は先行研究より抽出した37項目とした.本研究対象者の取込み基準として日本語を母国語としている東京都三鷹市在住の65歳以上で要介護度認定を受けていない高齢者,要支援1および2,要介護1および2の認定を受けている高齢者とした結果,計342名の高齢者が調査に参加した.一次集計にて調査項目全てを回答していない対象者14名を分析から除外し328名を分析対象者とした.次に分析対象者を「非フレイル」,「フレイル・ハイリスク」,「要支援1」,「要支援2」,「要介護1」,「要介護2」の6グループに分けそこから各グループ男女それぞれ15名ずつをランダムに抽出した.ランダム抽出後,ランダム抽出対象者においてRasch分析を用いて原案の項目精選を行い,infit値およびoutfit値が>0.7,<1.4となるまで続け最終的に残った項目を原案とした.また信頼性の検証として,Cronbachのα係数を原案の質問項目において算出し内的一貫性を検証した.結果:ランダム抽出した170名におけるRasch分析の結果,37項目から最終的に22項目が残った.またCronbachのα係数は全22項目において0.86~0.87であった.結論:今回,地域在住のフレイルおよび軽度要介護度認定高齢者の社会参加指標の原案を開発した.Rasch分析により精選した22項目を社会参加指標の原案とし,信頼性および妥当性ともに確認された.本尺度の完成により社会的フレイルの有用な評価尺度としての利用が期待される.

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© 2017 一般社団法人 日本老年医学会
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