日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年医学update 高齢者の睡眠障害
3.高齢者における睡眠関連呼吸障害とその対応
櫻井 滋細川 敬輔櫻井 伴子
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 54 巻 3 号 p. 335-342

詳細
抄録

睡眠関連呼吸障害(SRBD:ICSD-3*)は,睡眠中に呼吸の停止と再開を繰り返す病態である.高齢者でも一般的な病態であり,加齢に伴い有病率と重症度は高くなる.高齢者では日中の眠気,睡眠中のいびきや無呼吸といった典型的症状のみでなく,種々の併存症に修飾される.不眠症状,夜間頻尿,認知機能の低下,心不全症状などの非特異的症状を呈する例があり,積極的な睡眠検査の実施が推奨される.治療の第一選択は在宅で行う経鼻的持続気道陽圧(nCPAP)療法であり,自覚症状の改善にとどまらず併存症を伴う患者の予後をも改善するが,高齢者では一般にnCPAPへの忍容性が低いため,導入初期における専門的療養支援が重要である.

*ICSD-3:International Classification for Sleep Disorders 3rd

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top