日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
高齢者C型慢性肝疾患に対する直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の使用経験
石田 晃介島上 哲朗金子 周一
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2017 年 54 巻 3 号 p. 375-380

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抄録

目的:C型慢性肝疾患に対する抗ウイルス療法は,直接作用型抗ウイルス薬(以下DAA)の登場で高率にウイルス駆除が可能となった.今回,当院においてDAAによる抗ウイルス療法を施行したC型慢性肝疾患症例を対象として,高齢者に対するDAAの有効性,安全性を検討した.方法:金沢大学附属病院においてDAAを導入したC型慢性肝疾患症例のうち,2016年8月までに治療終了後12週間目の持続的ウイルス学的著効(Sustained Viral Response at week 12 after treatment is completed:SVR12)の判定が可能であった223例を対象とした.治療開始時の年齢が70歳以上を高齢群,70歳未満を若年群として両群の臨床背景,抗ウイルス効果,有害事象を解析した.結果:全223例中,高齢群は79例,若年群は144例であった.年齢は高齢群で75.5±4.4歳,若年群で58.1±9.8歳(平均±SD),最年長は85歳,最年少は27歳であった.性別は高齢群で有意に女性が多かった(p<0.01).血小板数は高齢群で13.7±6.4×104l,若年群で15.9±7.0×104l と有意に高齢群で低値であり(p=0.02),FIB-4 Indexも高齢群で5.12±3.25,若年群で3.48±2.89と有意に高齢群が高値であった(p<0.01).肝癌既往歴を有する症例は,高齢群で79例中39例,若年群で144例中29例であり,高齢群で有意に多かった(p<0.01).血清AFP値は高齢群で12.5±20.3 ng/ml,若年群で15.7±22.3 ng/mlと有意差は認めなかった.DAA導入前の前治療は高齢群で79例中49例,若年群で144例中63例に治療歴があり,高齢群で有意に前治療歴を有する症例が多かった(p=0.01).治療効果は高齢群が79例中71例(89.9%),若年群が144例中131例(91.0%)でSVR12を達成しており,有意差は認めなかった.副作用中止は高齢群で79例中4例(5.1%),若年群で144例中4例(2.8%)に認めたが,有意差は認めなかった.SVR12達成後の肝発癌は高齢群で79例中17例,若年群で144例中12例に認め,有意に高齢群で多かった(p<0.01).結論:DAAの治療効果,副作用は両群間に差を認めず,高齢者においても安全に治療可能であった.しかし,高齢群では肝線維化進展例,肝癌治療歴を有する症例が多く,ウイルス駆除後の発癌に留意すべきである.

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© 2017 一般社団法人 日本老年医学会
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