日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
抗コリン作動薬及び鎮静薬による薬剤負荷が超高齢者のアウトカムへ与える影響:The Tokyo Oldest Old survey on Total Health(TOOTH)
佐藤 亮平新井 康通阿部 由紀子高山 美智代漆原 尚巳
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2017 年 54 巻 3 号 p. 403-416

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抄録

目的:本研究の目的は,東京都心部在住の超高齢者における,抗コリン作動薬及び鎮静薬が与える薬剤負荷の影響を調査することである.方法:東京在住超高齢者コホートTOOTHではベースライン時,3年後に2つの調査が実施されており,これらの調査から得られたデータを用い,抗コリン作動薬及び鎮静薬への曝露と,身体機能及び認知機能との関連を調査した.TOOTHの薬剤データベースから抗コリン作用及び鎮静作用を有すると考えられる薬剤を特定し,Drug Burden Index(DBI)を算出することで薬剤負荷を算出した.身体機能及び認知機能を表す各アウトカム指標との関連を,重回帰分析により検討した.また,ベースライン時から3年後調査時にかけての各アウトカム指標の経年変化を調査し,ベースライン時のDBIと各アウトカム指標の経年変化の関連を検討した.結果:DBIが算出された対象者はベースライン時調査で306名,3年後調査で176名であった.ベースライン時調査でIADL(p<0.01),MMSE(p<0.05),3年後調査でADL(p<0.05)がそれぞれDBIとの有意な負の関連を有した.ベースライン時及び3年後の双方の調査で,薬剤名及び一日用量情報が得られた対象者は110名存在した.ベースライン時から3年後で有意なアウトカムの経年変化は認められず,ベースライン時のDBIとの関連も見られなかった.考察:抗コリン作動薬及び鎮静薬が,超高齢者の身体機能及び認知機能に影響を与えることが示唆され,DBIが85歳以上の超高齢者に対しても有用であると考えられた.各アウトカム指標の経年変化は小さく,DBIとの有意な関連は認められなかったが,これはTOOTHの追跡がまだ十分行われていないことが一因と考えられる.今後,より大規模集団で更なる追跡を行うことで,各アウトカム指標の経年変化とDBIの関連を分析する必要がある.

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© 2017 一般社団法人 日本老年医学会
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