日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
急性期循環器病院での認知症ケアチームの取り組み
内藤 喜隆横谷 弘子姫野 麻菜美石口 祥夫森田 孝子大久保 優玉木 俊治池田 知聖清水 一紀
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2019 年 56 巻 2 号 p. 198-203

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抄録

目的:認知症ケアサポートチームの活動を振り返り,活動の報告と今後の課題について検討する.対象・方法:2017年1月1日~12月31日でD-castに依頼がきた350名を対象とした.チーム介入時と介入終了時に認知症認定看護師が認知症高齢者の日常生活自立度評価を施行し介入前後での変化とチーム介入までの日数,チーム依頼の内容,在院日数を検討した.結果:対象者の年齢では高齢者(81±9歳)の依頼が多く,疾患別では心不全94名(27%),外科カテーテル治療45名(13%)の依頼が多かった.依頼目的は認知症の中核症状が40%,せん妄発症と予防が36%,その他24%であった.認知症高齢者の日常生活自立度の介入前後では改善が29名(16%),維持が165名(66%),低下は46名(18%)であった.低下患者の介入時評価は該当なしが26名(57%),Iが12名(26%),IIaが1名(2%),IIbが5名(11%),IIIaが2名(4%)であった.チーム介入までの日数は該当なし,I,IIと比較的軽度の症状の患者の方が,IIIの患者と比べてチーム介入が遅延し,在院日数も長かった.結論:高齢・認知症患者はせん妄,中核症状の増悪が病棟対応に影響する事が多かった.軽度認知症患者ではチーム介入が遅延し,在院日数が長くなる傾向があるため,今後は入院早期に軽度認知症患者を評価できる取り組みと対策が重要.

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© 2019 一般社団法人 日本老年医学会
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