日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
総説
高齢者総合機能評価(CGA)ツールを利用する際の著作権侵害の問題
日本老年医学会CGAツール選定・最適化WG小宮 仁梅垣 宏行川嶋 修司小島 太郎竹屋 泰
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2021 年 58 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

著作権とは,無体財産権の一つで,著作物に対する独占的・排他的権利で,著作者を保護するため,その精神的な創作活動の所産である著作物に対して著作権法が認めたものである.老年医学の診療・研究において,高齢者総合機能評価(CGA:Comprehensive geriatric assessment)ツールが汎用されているところであるが,個々のCGAツールは著作物であり,その使用にあたっては,著作権侵害にならないように留意する必要がある.著作権法は無方式主義を採用しており,著作物の創作とともに著作権は自動的に発生する.また,著作権の保護期間は,原則著作者の死後70年間である.したがって,ほとんどのCGAツールは著作権法の保護を受ける.著作物を複製(コピー)する場合,私的使用目的などの例外的場合でない限り,著作権者に無断で行えば著作権を侵害する可能性がある.参考のために,CGAツールの著作権に関する情報について,可能な範囲で調査を行い,その結果を表で提示した.著作権者が不明で許諾を得ることができない場合には,著作権者の許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け,通常の使用料額に相当する補償金を供託することで,著作物を適法に利用することができるとする制度がある.

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© 2021 一般社団法人 日本老年医学会
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