日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
回復期リハビリテーション病棟入院患者の認知症疑いの有無とオムツ離脱との関連:多施設後ろ向きコホート研究
津江 尚幸堺 琴美浜田 将太佐方 信夫
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2025 年 62 巻 2 号 p. 212-219

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抄録

目的:認知機能は日常生活動作に関連する重要な因子であるが,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟)入院患者の認知機能と排泄動作やオムツ使用との関連を調べた研究は少ない.本研究では,回復期リハ病棟入院患者における認知症疑いの有無とオムツの使用から離脱すること(以下,オムツ離脱)との関連を明らかにすることを目的とした.方法:2022年4月から6月に9病院の回復期リハ病棟に入院し,テープ式オムツを使用していた患者を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した.認知症疑いは改訂長谷川式簡易知能スケール20点以下と定義し,オムツ離脱はリハビリテーションパンツまたは布パンツを使用している状態と定義した.認知症疑いとオムツ離脱との関連について,年齢,性別,入院時FIM運動スコア,運動麻痺(脳血管疾患のみ)で調整した二項ロジスティック回帰分析を実施した.結果:対象者は脳血管疾患100人(男性52.0%,年齢中央値81歳,認知症疑い65.0%),運動器疾患112人(男性22.3%,年齢中央値87歳,認知症疑い40.2%),廃用症候群52人(男性46.2%,年齢中央値85歳,認知症疑い75.0%)であった.認知症疑いのある患者は,認知症疑いのない患者と比較してオムツ離脱の割合が低く,認知症疑いの有無とオムツ離脱の関連については,脳血管疾患患者(調整オッズ比0.30,95%信頼区間0.11~0.86,p=0.024),運動器疾患患者(調整オッズ比0.15,95%信頼区間0.05~0.46,p<0.001),廃用症候群患者(調整オッズ比0.10,95%信頼区間0.01~0.79,p=0.029)と,全ての疾患群において負の関連が認められた.結論:回復期リハ病棟入院患者において,認知症疑いはオムツ離脱と負の関連があることが示された.オムツ使用からの離脱に向けた介入方針の決定には,入院時に認知症疑いの有無を評価することが有効である可能性が示唆された.

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