日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
地域在住高齢者のロコモ度進行に影響する因子とは―筋持久力低下に注目して―
小林 好信
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2026 年 63 巻 2 号 p. 147-153

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抄録

目的:地域在住高齢者を対象に,2年間の身体機能の変化とロコモティブシンドローム(ロコモ)の推移との関連を検討し,とくに筋持久力指標である30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)の有用性について検討した.方法:2021年度の介護予防教室に参加した60歳以上の住民のうち,2年後の再評価が可能であった高齢者58名を対象とした.ロコモ度はロコモ25(GLFS-25)および2ステップテストにより正常およびロコモ度1~3で判定し,進行群と非進行群(維持・改善)に分類した.握力,長座体前屈,CS-30など8項目の身体機能指標の変化量を算出し,群間比較およびROC解析を行った.ロコモ度の維持・悪化を目的変数とし,年齢を調整変数としてロジスティック回帰分析を行い,CS-30変化量の独立した関連を検討した.CS-30の最小可検出変化量(MDC)および最小臨床重要差(MCID)も算出した.結果:2年間でロコモ度が進行した者は16名(27.6%)であった.年齢,握力,長座体前屈,CS-30の変化量において群間で有意差がみられ(p<0.05),ROC解析ではCS-30のAUCが0.705と中等度の予測能を示し,「+1回」の回数増加がロコモ度維持・改善のカットオフ値となった(感度81.2%,特異度61.9%).また,ロジスティック回帰分析の結果,CS-30の変化量は年齢を調整後もロコモ度の維持・改善に有意な関連を示し(オッズ比1.24,p=0.04)た.CS-30のMDCは5.64回,MCIDは4.00回であった.結論:CS-30のわずかな改善(+1回)であっても,ロコモ度の維持・改善と関連しており,筋持久力の変化は移動能力低下に先行して現れる可能性が示された.CS-30は,年齢の影響を考慮したうえでも,地域在住高齢者におけるロコモ進行の早期指標として有用であると考えられる.

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