日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
食後脂血処理能におよぼす糖質の効果
冠動脈硬化症における観察を中心として
山本 純子
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11 巻 (1974) 1 号 p. 1-8

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抄録

動脈硬化症の治療ならびに予防上, 最も重視すべきものは食餌であるとの観点より, 冠動脈硬化症における食後脂血処理能に関与する糖質代謝の役割を明らかにするため, 血中遊離脂肪酸 (FFA) 動態の面から検索を試みた.
1) 冠動脈硬化症患者群 (P群) 16名と健者13名に早朝空腹時, 25%脂肪含有生クリーム100gを経口投与し, 内P群9名と健者5名に3時間後50%ぶどう糖40mlを静注した全例から経時的に採血し, 血漿 Optical Density (OD) と血漿FFAを測定したところ, 両群ともにぶどう糖静注により, ODは有意に下降するのが認められた. その程度はP群では健者に比し, 低いことが認められた. また両群ともにFFAの変動は, ODの場合と極めて似たパターンを示すことが認められた.
2) 健者7名に生クリーム経口負荷3時間後, 内4名に Propranolol 10mgを生食に溶解し残り3名に生食のみを点滴静注し, ODとFFAを測定した. その結果, β-遮断剤は, ODを低下させることが認められた.
3) P群3名と健者3名に生クリーム経口負荷2時間30分後より, 150分間にわたり, Protamine を100mg/hr. で点滴静注を行ない, 点滴開始30分後に50%ぶどう糖40mlを静注し, ODとFFAを測定した. あらかじめ Protamine を投与した場合, ぶどう糖を静注してもODは著明に上昇するのが認められた.
以上のことより, 食後脂血処理の機序としては, Lipoprotein lipase 活性に基づく内因性清澄能が, 基本的要因であるが, ぶどう糖は, 水解産物であるFFAの処理を促進することによって, 脂血清澄能を増強するものと考えられる. ぶどう糖の食後脂血処理能に対する効果は動脈硬化症患者群では, 健者よりも劣る. この要因として, 前者では後者よりも, 耐糖能の低いことの関与する可能性が示唆される.

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