日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
ヒト肝細胞内リポフスチン沈着様相の年齢的消長と環境要因
その2 在ハワイ日本人とコスタリカ人剖検例を中心に
花之内 基夫田内 久佐藤 秩子
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17 巻 (1980) 3 号 p. 312-320

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抄録

加齢に伴って増加するといわれるリポフスチンの肝細胞における発現様相の逐齢消長検討の一環として, すでに報告した在日日本人と米白人剖検例についての検討にひきつづき, 在ハワイ日本人, コスタリカ人の肝組織について蛍光顕微鏡写真による量的分析を行い, 前回の報告で得られた成績とも併せ比較検討を試みた.
在ハワイ日本人例は36歳から97歳までの153例, コスタリカ人は23歳から86歳までの47例でいずれもすでに肝組織の微計測的検討により, その逐齢的な形態について検索, 報告した症例である.
一般に色素保有肝細胞数, 色素量とも中心層では辺縁層に比し多く, 在ハワイ日本人群では全検索項目で, コスタリカ人例では色素量において, その差は有意であった.
一方逐齢的消長としては, ハワイ日本人例で肝細胞1個あたりの色素量が49歳以下と80歳以上の間に有意差がみとめられた以外にはこれら両群では何れの項目, 何れの年代間にも有意差がみとめられなかった.
また両群ともに肝細胞あたりの色素量と肝内動脈硬化度, あるいは肝細胞数との間にも有意な相関関係はみとめられなかった.
在ハワイ人日本人例においては, リポフスチン沈着様相に年齢差をみないのみでなく, 在日日本人, 米白人, コスタリカ人の何れの群に比しても有意に多量, 高頻度の沈着が若年時からみとめられ, 年齢差を凌駕する群差がみとめられた.
従来から老化の一指標として問題にされて来たリポフスチン沈着に関して, 個体の環境因子のもつ役割も考慮すべきである点を強調すると共に, 必ずしも継続的に細胞内に蓄積されて行くものではなく, 絶えず代謝, 排出されているものの一面をみているのではないかという点を示唆した.

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