18 巻 (1981) 5 号 p. 297-307
大脳半球白質の陳旧性虚血性病変とCT上の低吸収域, periventricular lucency (PVL) との関係を追求する事を目的に, 脳に虚血性病変の認められた37剖検例と, CT上PVLのみられた17剖検例を対象に組織学的に検索し, CT所見と対比検討した.
1) 虚血による高度の脱髄部位, あるいは空胞化によって白質組織が全体として疎になっている部分は, CT上低吸収域として検出された. しかし, 虚血に伴う脱髄部位に著明なグリア線維の増殖が認められた場合には, CT上低吸収域とし検出されないことが多かった. 不完全軟化や変性に伴う脱髄が軽度の部位は, CTで低吸収域として検出されなかった. 以上の結果より, 虚血性変化に伴う脱髄が高度なほど, 空胞化による組織の疎の状態が強い程CT上低吸収域として検出されやすく, グリア線維の増殖が強い程低吸収域として検出されにくい. 白質の陳旧性虚血性病変は常にCTで検出されるとは限らない, と結論された.
2) PVLを有した例の約1/3の例では, PVLにほぼ一致する前頭葉白質の広範な梗塞, 脱髄, 空胞化がみられた. この中には大脳半球白質に広範な虚血性病変を有する, いわゆる Binswanger 型白質病変を示したものが多かった. 白質の虚血性病変はあるがCT上のPVLとは一致しなかったもの, PVLに相当する白質病変のないもの, 側脳室前角前方に虚血性病変はあるがCTではPVLの認められなかったものもみられた. 以上の結果より, PVLの中には前頭葉白質の広範な虚血性病変を反映している場合が少なくないと結論された.