22 巻 (1985) 2 号 p. 160-166
Ursodeoxycholic Acid (以下UDCAと略記) を老年者および対照若年者に1日300mg経口負荷し, 負荷前と負荷後3カ月間の血中脂質動態を経時的に観察した. その結果, 若年群では負荷2週間後にHDL-Cholesterol (以下HDL-Choと略記) が上昇, 総 Cholesterol (以下T-Choと略記) が降下し動脈硬化指数 (AI: T-Cho-HDL Cho/HDL Cho) が有意 (p<0.001) の低下を示した. 老年者にも同様の傾向がみられたが有意ではなかった. 負荷2週間後にAIの低下する者としない者とがあり, 前者をUA群, 後者をUB群と Type 分けを行った. 老年群にはUB群に属する者が多く, また脳梗塞者の83.3%がUB群に属していた. それに対し若年群では, 75%がUA群に属した. 負荷2週間後の胆汁酸分画測定を Gas Liquid Chromatography 法により行ったところ, UA群に属する者には Chenodeoxycholic Acid (以下CDCAと略記) の上昇が有意 (p<0.005) に認められたが, UB群ではCDCAの上昇は有意でなかった. またAIの増減とCDCAの変化との相関をみると, 互いに負の相関(r=-0.609, p<0.05) が認められた. これらの結果から, UDCA負荷により血中脂質とくに動脈硬化指数の増減に相違が生じ, UA群, UB群の2つの Types に別かれたのはUDCA負荷による血中CDCAの増加のちがいに依存している事が示唆された. 脳梗塞者にUDCAを負荷した場合, その83.3%がUB群に属する結果となった点からみて, 脳血管障害の成因とUDCA負荷により変化する血中胆汁酸分画動態との間に何らかの関連があることが強く示唆された.