抄録
気策支喘息300症例 (男153例, 女147例) を対象に, 即時型アレルギー反応に及ぼす加齢の影響について, アレルゲンの皮内反応, 血清IgE値, 特異的IgE抗体値, 気管支吸入誘発試験などを中心に検討を加えた.
1. 7種類のアレルゲンエキスによる皮内反応の陽性率を年齢別に検討した結果, ハウスダスト, ブタサ, アスペルギルス, アルテルナリア, クラドスポリウム, ブロンカスマスなどによる皮内反応の陽性率は, 加齢とともに低下することが明らかとなった. 一方カンジダによる皮内反応の陽性率は, 41~50歳および61歳以上の年齢層で高度であった. 即時型皮内反応の経時的変化の観察においては, ハウスダストでは年齢による差はみられなかった. カンジダでは即時型皮内反応の陽性率が高い41-50歳および61歳以上の年齢層の間には, 5時間後の皮内反応の陽性率にかなりの差がみられ, 61歳以上の年齢層の5時間後の陽性率は41-50歳の年齢層に比べそれ程高度ではなかった.
2. 年齢別に血清IgE値を比較すると, 0-30歳の年齢層において最も高く (715±555IU/ml) 以後31-40歳 (638±548), 41-50歳 (447±400), 51-60歳 (322±343) と年齢が高くなるにつれて低下する傾向がみられた.
3. ハウスダストに対する特異的IgE抗体の陽性率は, 0-30歳の年齢層において最も高く (77.8%), 以後31-40歳 (64.3%), 41-50歳 (31.2%), 51-60歳 (20.0%) と年齢が高くなるにつれて低下する傾向がみられた. 一方カンジダに対する特異的IgE抗体陽性率は41-50歳の年齢層において最も高い値を示した.
4. ハウスダストによる吸入誘発試験の陽性率は, 加齢とともに低下する傾向を示した. 一方カンジダによる吸入誘発試験の陽性率は, 41-50歳の年齢層において最も高い値を示した.