日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
ライ様症候群を呈した高齢者の8症例の臨床的検討
臨床的知見及び薬物治療について
板垣 晃之菱村 将隆八田 美鳥吉田 亮一竹中 星郎安原 治漆原 彰
著者情報
ジャーナル フリー

26 巻 (1989) 6 号 p. 608-616

詳細
PDFをダウンロード (1171K) 発行機関連絡先
抄録

我々は高齢者において, 経口血糖降下剤やインスリンの使用していない例で原因不明の著明な低血糖を発症した8例を経験したので, 報告するとともに, 各症例の身体・精神的特徴や服用薬物との関連についても検討を加えた.
症例は66歳から88歳の男女8例 (平均年齢: 78.5歳) の入院患者である.
1: 全例が高齢者で, 脳梗塞, 知能障害, 意欲低下などの症状が認められた.
2: 発症経過では, 数日前から食思不振や摂取量の減少を認め, 急激に意識障害を呈した.
3: 検査所見は, 全例に著明な低血糖, 7例に白血球増多 (1例は未検査), 3例に代謝性のアチドーシス, 5例にGOT, 2例にGPTの上昇, 1例に尿素窒素の著増, 4例にCRP陽性を認めた.
4: 薬剤は, 脳代謝賊活剤 (ホパンテン酸カルシウム7例, イデベノン1例) を服用していた. イデベノン例はその服用の4カ月前まで11カ月間ホパンテン酸カルシウムを服用していた.
5: これらの所見は, 小児で報告されたホパンテン酸カルシウムによる Reye like Syndrome に類似していた.
以上の事から, 脳代謝賦活剤である薬物 (ホパンテン酸カルシウム) が, 何等かの形で糖新生系を障害して, 低血糖を発症した可能性が考えられ, Reye like syndrome との因果関係や多臓器障害を有する高齢者の血中薬物動態に関しての検討が必要と思われる.

著者関連情報
© 社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事

オルトメトリクス
閲覧履歴
前身誌

老年病

feedback
Top