日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年者本態性高血圧症における食塩負荷時の心拍出量及び末梢局所血流分布の解析
島本 順子島本 博幸中村 英雄
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27 巻 (1990) 3 号 p. 332-342

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抄録

老年者本態性高血圧症入院患者29名 (男4, 女25, 81.6±6.7歳) を対象とし, 7g/日減塩食8週間後, 20g/日増塩食1週間の各最終日に, 超音波パルス・ドップラー法を用いて, 心拍出量測定及び末梢局所血流分布を解析した.
1) 減塩期に比較して増塩期の平均血圧上昇10%以上を食塩感受性 (SS) 群24名, 10%未満を食塩非感受性 (NSS) 群5名とし, 更にSS群を心拍出量依存 (SS (COdep)) 群9名と, 総末梢血管抵抗依存 (SS(TPRdep)) 群15名とに分類した.
2) 心拍出量は増塩によりSS (COdep) 群, NSS群では有意に増加したが, SS (TPRdep) 群では有意な変化を認めなかった. 総頚動脈血流は食塩負荷により3群とも有意な変化を認めなかったが, 上腸間膜動脈血流は3群とも有意に減少した. 腹部大動脈末端血流はSS (COdep) 群, NSS群とも増塩により有意に増加したが, SS (TPRdep) 群では有意に減少した.
3) 総末梢血管抵抗は増塩時, SS (COdep) 群で有意に減少, SS (TPRdep) 群で有意に増加, NSS群で有意な変化を認めなかった. 総頚動脈抵抗は食塩負荷により3群とも変化しなかった. 上腸間膜動脈抵抗は食塩負荷により3群とも有意に増加したが, その増加度は3群間に有意差を認めなかった. 腹部大動脈末端領域抵抗は増塩時にSS (COdep) 群及びNSS群にて有意に減少, SS (TPRdep) 群では有意に増加した.
4) 食塩負荷による末梢局所血流分布の変化は一様ではなく, SS (COdep) 群及びNSS群では食塩負荷により上腸間膜動脈領域から腹部大動脈末端領域に末梢血流が再分配され, 総末梢血管抵抗増加が抑制された. 一方, SS (TPRdep) 群では増塩時に腹部大動脈末端領域の抵抗減少がなく, これが総末梢血管抵抗増加の一原因と推測された. 食塩負荷時, 腹部大動脈末端領域の反応が総末梢血管抵抗増減に関与し, stigmatized vascular area と考えられた.

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