1991 年 28 巻 5 号 p. 627-633
大脳深部領域に限局した脳血管障害20例 (脳血管撮影上異常を認めない中大脳動脈穿通枝領域の小梗塞L群7例, 主幹部脳動脈の閉塞性病変による深部脳梗塞NL群6例, 被殻または視床出血H群7例) を対象に, 123I-IMP SPECTを用い患側大脳半球皮質や対側小脳半球における血流低下について, その臨床的意義を含め検討した.
L群の一部にも軽度の患側皮質血流低下がみられたが, NL群やH群の多くでは中等度から高度の血流低下がより広範囲にみられた. この機序として, 脳浮腫, 主幹動脈病変による潅流圧低下に伴う虚血, CT等では検出されないような不完全な組織障害の存在, 投射線維を介した機能抑制などが推測され, 各要因の関与によって皮質血流低下の程度も異なると考えられた. 対側小脳半球の血流低下 (CCD) は, NL群やH群でより高率かつ高度に認められ, 病巣部位との関連から皮質橋小脳路の遮断による抑制機序が推測された.
臨床的に, 患側皮質血流低下と失語や失認等の神経心理症状とは密接な関連がみられ, また患側皮質, 対側小脳半球の血流低下と運動麻痺との間にもある程度の関連が推測された. しかし, 対側小脳半球の血流低下と小脳症状との関連については明らかでなかった.
大脳深部領域に限局した病変でもさまざまな機序により遠隔部位に血流低下がみられ, その臨床的意義は少なくない. したがって, 病巣局所の他に遠隔部位にみられる病態についても考慮する必要がある.